福原らによる記述研究が雑誌Cureusから発表されました。
この論文は、名古屋で開催された日本医学会総会シンポジウム、東京で開催された日本医学会総会特別講演で話した内容の元となるデータです。
分析的研究ではなく記述研究です。システマティックレビューでもありません。
出典:Fukuhara S, Kataoka Y, Aoki T, et al. (May 27, 2024) International Collaboration and Commercial Involvement in Randomized Controlled Trials From 10 Leading Countries, 1997 Through 2019. Cureus 16(5): e61205. doi:10.7759/cureus.61205
主な知見
- 世界のRCT論文は増え続けている。(今回対象とした国は、世界10カ国)
- しかしコアクリニカルジャーナルCCJの論文数は増えていない。(質の低いRCT論文が増えていると推察)
- 米国は、世界発CCJのRCT論文の半数以上と圧倒的なシェアを占め続けている。英国、EU諸国と続くが、日本は米国の10分の1以下のシェアで、今回の対象国10のうち9位である。中国からの論文が急増している。
- 主に、ヨーロッパ、日本、韓国で国際共同研究RCTが増えている。米国や中国は、国際共同研究の割合が相対的に低い。
- 営利企業がスポンサーするRCTも増えている。国際共同研究のRCTではその割合が多い。グローバル製薬企業によるRCTの影響と推察される。日本発のRCT論文における営利企業スポンサーの割合は突出しており、増え続けている。
- 日本へのメッセージ: 他の先進国に比べ企業スポンサーによるRCTの割合が突出、増え続けている。2008年のRCTのスキャンダルにもかかわらず、この傾向が変わらないのは憂慮させる状況である。米国では古くからNIHなど公的大型研究費がRCTを助成し、医療者や国民にバイアスのかからない結果を提供してきた。日本も約7年前位よりAMEDが発足しRCTを助成している。これによる改善効果が今後現れるかを注視したい。
以上