NEWS/イベント情報

世界医学サミット2015 福島サテライトシンポジウム

2015年4月17日に福島県立医科大学講堂で開催されました。

アジアで初の世界医学サミット地域会合(World Health Summit Regional Meeting)が2015年4月13日、14日に京都で開催され、サテライトシンポジウムが4月17日に福島県立医科大学講堂でも開催されました。

世界医学サミットウェブサイト(英語)

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福島サテライトシンポジウムでは世界の著名な大学や医療機関により構成されるM8 Allianceのメンバーをはじめとした世界の医学のトップリーダーが集まり、福島の現状を知っていただき、未来の福島への助言を頂きました。
参加者は454名でした。参加者のアンケート結果をこちらからご覧になれます。

「京都・福島声明」

世界医学サミット京都及び福島会合で、M8 Allianceを中心に福島県立医科大学も参加して「京都・福島声明」を作成し、採択されました。
福島サテライトシンポジウムで福島県立医科大学 福原俊一副学長兼臨床研究イノベーションセンター長からその骨子が発表されました。

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京都・福島声明の全文はこちらからご覧になれます。
日本語英語

「シンポジウムの内容」

福島県立医科大学 阿部正文総括副学長の開会の挨拶

世界医学サミット福島サテライトシンポジウムには海外からの著名な専門家を始め多数の方々のご参加を頂き誠にありがとうございます。また開催の準備に当たり、M8 Alliance、京都大学、福島県立医科大学の関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。

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さて、既にご存知の通り福島県は2011年3月11日の東日本大震災、大津波そしてそれに続く東京電力福島第一原子力発電所の事故により、未曾有の災害を受けました。発災から4年を経過しましたが、今なお、厳しい状況にあることには変わりはありません。福島県立医科大学は福島県における医学・医療の拠点として福島県の再生と復興に寄与することが、新たに加わった使命と考えています。そのため、ふくしま国際科学医療センターを創設しました。その中の大きな柱のひとつであります放射線医学県民健康管理センターでは福島県からの受託事業であります「県民健康調査」を実施しているところです。この「県民健康調査」の目的は震災や原発事故に被災された県民の皆様のこころとからだを長期にわたって見守るとともに健康影響を評価して、将来の健康増進に繋げることであります。

さらに、県民の健康問題に加えて震災や原発事故により超高齢化社会が一層加速されている問題もあります。このシンポジウムでは東日本大震災、原発事故から生じた健康影響の問題そして福島県における超高齢化社会の加速の問題等について十分に議論をしていただき、これらの課題に対してどのように「対応する力」と「折れない力;レジリエンス」を構築するか、京都および福島での議論を踏まえて、提言して頂きたいと思います。

福原俊一 臨床研究イノベーションセンター長の挨拶

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世界医学サミットは2009年から年一回ベルリンで開催されて来ましたが、この度アジアで初めて、京都そして福島で地域会合が開催されました。京都会合は4月13日、14日に開催され、世界から多くの参加者が集まって活発な議論が行われました。その中で、福島県立医科大学が主催した討論会にも多くの方が参加していました。
「なぜ世界医学サミットが福島で開催されるのか?」
福島は決して特殊な問題を抱えているという訳ではなく、超高齢化と大災害という日本そして世界の抱える問題を濃縮した地域であるということでM8、世界医学サミットを管理する世界のトップリーダーが福島県立医科大学に集まりました。
そして、福島には大きな可能性があるからです。福島は恐ろしい災害を耐え抜いて対応して来た「responsiveness(対応する力)」、そして困難に折れずに起き上がりこぼしのように転んでもまた起き上がる、柳のようにしなやかな「resilience(折れずに持続する力)」、この二つの力を持っています。
私達は日本が持っているイノベーション(技術革新)、システムの大胆な変換と共に、この福島での経験を、失敗も成功も、世界に伝える責任があると考えています。

上記挨拶の資料の抜粋をこちらからご覧になれます。
世界医学サミットのウェブサイト(英語)に掲載されている京都会合での開会式 (Opening Ceremony)の録画で菊地臣一福島県立医科大学理事長兼学長と福原センター長の挨拶をご覧になれます。

福島県立医科大学医学部疫学講座 大平哲也主任教授の講演

「震災後の県民の健康状態を見守る」という演題で、震災後に行った福島県民の健康調査の結果が世界に報告されました。

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福島県立医科大学 大戸斉副学長の閉会の挨拶

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私達は、以前よりもずっとタフになったと思う。些細なことには動じない心もついたと感じる。また逆に人の弱みを知って、共有する心の広がりという感覚も獲得した。困っている時に、助けて頂いた人達に感謝する気持ちは今以って私達の心から消えていない。困難に直面した時、乗り越えるしなやかな回復力もついてきた。

人類はこれまで度々の危機、日本もたくさんの困難に直面してきたが、見事に克服してきた。私達は福島で、奇跡をおこしたいと思っている。目指すは日本一健康な県民になること。福島に生まれて医学、看護学を学んでよかった。病気になるのを防ぐ手段と知恵をきっと他の人よりももっとたくさん身に付けることになると思う。
日本でもっとも進んだ医療をこの福島医大で提供したいと思う。世界で我々の力を必要とする人がいれば、見事に貢献して行きたい。世界から日本に来て福島で学びたい人もたくさん受け入れて行きたい。共に、この福島から世界に貢献できる、先進的な医学とヘルスケアを創造して行きましょう。
世界医学サミット福島サテライトシンポジウムに、アメリカ、カナダ、ドイツから世界のトップリーダーたちがこの会場に来ていただきました。この見事なシンポジウムを開いていただいた、福原先生には深く感謝いたします。

京都会合でも福島の現状を報告

先立って行われた京都会合でも「震災後の回復可能な社会の構築―福島の経験から」という演題でパネルディスカッションが開催され、福島県立医科大学から

棟方 充 教授
安村 誠司 教授
橋本 重厚 教授

が福島で起きたことと現状を世界に報告しました。

世界医学サミットのウェブサイト(英語)でパネルディスカッションの録画 (Building Resilient Health System after Disaster – Panel Discussion) をご覧になれます。

地域のテレビニュースや新聞でも福島サテライトシンポジウムについて報道されました。